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米国の威信と学者の本分(2006.8.28)

 周知のように、先週の国際天文学連合の総会において、冥王星が惑星ではなくなることが決定された。冥王星は1930年に米国人の研究者が発見したのであるが、当初から惑星とすることには学界内には違和感があったようである。直径が月よりも小さく、重量にいたっては月の5分の1以下である。しかも、公転軌道面が他の惑星とは大きく角度がずれており、どちらかと言うと彗星に近い天体と考えたほうが良い。それであるにもかかわらず、現在までの76年間は、惑星とされてきたのは、ひとえに米国人が発見した唯一の惑星だったからに他ならない。

 今回の総会の前評判としては、惑星を3つ増やして冥王星の惑星としての地位を確固たるものにしようとする米国の意図が見え見えで、米国流に強引にそうするに違いないと思われていた。ところが蓋を開けてみると、いっせいに反論が沸き起こり、あっさりと米国の決議案は否決されてしまった。しかも勢い余って、逆に冥王星は惑星ではなくなることになり、まさにヤブヘビの状態になってしまったのである。

 これが軍事的なことや経済的なことであったならば、米国はどんな手段を使ってでも自分の主張を曲げようとはしなかったであろうが、そこはさすがに学問の世界ということで、結果的には極めて民主的な解決となった。しかしこれが、もしイラク戦争の前であったら、どうなっていたであろうか? まだ米国が、世界のスタンダードだと思われていた時代であったし、米国に従っていれば無難とされた時代であった。ところが、イラク戦争において米国の正義が失墜した現在、かつての米国の威信は通用しなくなった、それが今回は顕著に現れたのではないだろうか?

 それと私としても、今回の米国の学者の素直さは意外であったし、また、ひじょうに安心もした。学問の世界には、大国か小国かというようなことよりも、個々人の能力のほうが大きな意味を持つ。それを良く分かっている学者自身が、学者の本分として正しいと判断したことに導いたと思うからである。

 さて、「世界物理年」でご紹介したように、私のルーツは天体観測である。天体望遠鏡で天体を観測した経験がある人は意外に少ないのであるが、もし今後、望遠鏡をのぞくチャンスがあったら、ぜひ惑星を見ていただきたい。特に木星と土星は、ひじょうにお勧めである。私も中学生のときに親にせがんで買ってもらった小さな望遠鏡で、最初に見たのは木星であった。そのときの感動は、いまだに忘れない。わずかに認識できた木星本体の縞模様よりも、一直線上に並んで宝石のように輝いている多数の衛星の姿は、何度見ても飽きない美しさがある。これは土星も同様で、輪もいいが、やはり衛星の輝きのほうがインパクトがある。

 それと、これもあまり一般に浸透していないのであるが、流星群(りゅうせいぐん)の観測もお勧めである。観測というと堅いが、要は見物でいいのである。特に盆休みの前後に出現のピークを迎えるペルセウス座流星群は、初心者でも十分に楽しむことができるくらいに多数の流れ星(正確には流星)を見ることができる。流星が、こんなに明るく流れるものだとは見た人でないと、その感動が分かりにくい。

 いずれにしても、今回の冥王星の騒動で、天文に興味を持った子供達も多いと思う。今後、少しでも天文ファンが増えることを期待している。

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福岡VS東京(2006.8.4)

 2016年のオリンピック誘致に向けて、国内候補地の福岡市と東京都が一騎打ちで争っている。個人的には、とうぜん地元の福岡を応援したいところではあるが、昔から頻繁に東京に出張しているという両都市をよく知る立場として、できるだけ客観的に分析してみることにした。

 まずは、インフラである。これについては、特に公共交通機関と宿泊設備においては、圧倒的に東京が優位であることは間違いない。JRや地下鉄、私鉄と鉄道網については、東京は申し分ない。片や福岡は、バスの台数が日本一多いということで有名で、ラッシュ時には凄まじい「バス渋滞」が発生する。バスが数珠繋ぎになるのである。鉄道は西鉄が2路線、JRは1路線が横切るだけ。地下鉄は3路線あるが、最新の1路線は中心地・天神での接続が悪く、利用が大いに低迷している。

 こう言ってしまうと、すでに勝負有りというように感じられるかもしれないが、大きな盲点が一つある。実際にオリンピックが開催されるとして、観客は公共交通機関で移動するが、選手や役員は、おそらく専用のバスなどで移動するはずである。東京の首都高速は、いったん渋滞が始まると収拾が付かなくなる。しかも、それが下を走る一般道路にも、またたく間に波及するのである。私は、それで何度もひどい目にあった。

 オリンピックともなれば、警察が交通規制をかけたりして、選手の移動を優先したりするはず、とも考えられるが、突発的な事故などで渋滞が起こると、そういう対処では時すでに遅しということになりかねない。それを避けようとすれば、オリンピック期間中、選手が移動する経路の首都高速や一般道路を封鎖してしまうしかないように思う。しかし、それは現実的であろうか? 日本の経済の中心である東京で、一時機にせよ道路機能が麻痺するような状態になれば、東京のみならず日本全体の経済に与える影響は多大なものになる。

 一方、福岡であるが、首都高速と同様の位置付けの「都市高速道路」の整備が、ここ数年以内にひとまず完了する。福岡市の周辺をぐるりと回る環状の高速道路となるのである。現状でも、ほとんど完成していて、福岡市の中心部と九州自動車道をつなぐ道路として、たいへん便利になった。しかも、渋滞は朝夕のラッシュ時に少し発生するていどで、日中にはほとんど発生しない。仮に発生した場合でも、下の一般道路に抜ければ、渋滞を回避できる。つまり、東京と比べると、道路インフラのキャパシティが、はるかに大きいということなのである。私としては、この道路インフラがいちばん大きな判断材料ではないかと思っている。

 次に宿泊設備のほうであるが、福岡市の場合、少し悩ましい問題である。オリンピックに向けてホテルを増やしたとしても、オリンピックが終われば需要が激減してしまうことは明らかである。少し遠くはなるが、観客用の宿泊施設は、近隣の市町村のものを利用することを前提としたほうがいいように思う。

 さて、仮に福岡で開催されるとした場合、観客にとっては多少不便かもしれないが、ほとんどの外国からの観客は東京を経由して福岡に来ることになると思う。国際線は成田だから、ということだけではなく、せっかく日本に来るのであるから、東京をついでに観光しよう、という気持ちになるのではないだろうか? 逆に、東京で開催となれば、あえて地方の都市まで足を伸ばそうという観客は少ないと思う。

 つまり、福岡か東京か、という二者択一の選択をするのではなくて、せっかくのオリンピックを経済の活性化につなげようという観点からすると、東京開催であれば東京にしかお金が落ちないが、福岡開催であれば両都市にお金が落ちるのである。しかも、新幹線で移動すれば途中の京都にも寄ることができるのである。やや強引な理屈になったという観もあるが、私としてはそれでなくても一極集中している東京よりも、少しでも分散させるという意味で、福岡のほうを推したいというのが結論である。

≪本日のHEADLINE≫

「大戦略 大東亜興亡史2〜トラ・トラ・トラ ワレ奇襲ニ成功セリ〜」「兵器紹介」の兵器解説を追加しました。

「大戦略センチュリオン」EXTRAに、「センチュリオンへの道 〜第八歩〜」を追加しました。

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