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科学技術をめぐるお国柄(2005.11.29)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ」が、小惑星イトカワに着陸し、岩石を採取したと思われるとの報道に、宇宙物理マニア(「世界物理年」)の一人として、心の中で小躍りして喜んだ。私が強調するまでもなく、世界的に画期的な出来事である。月以外の天体から岩石を採取したのは、この「はやぶさ」が最初になるからである。もっとも、地球に無事に戻るのは、さ来年の6月ということで、それまでは本当に採取できているかどうかは確認できない。しかし、万一、採取できていなかったとしても、今回の探査には他にも特筆すべきことが多々ある。下記のホームページなどのニュースの画像には、着陸しようとしている「はやぶさ」自身の影だけでなく、直前に発射した88万人の署名入りターゲットマーカまでくっきりと映っている。指令が届くのに16分もかかる、はるか3億キロのかなたで、重さ510キロの小さな探査機が、けなげに成し遂げた快挙の数々である。

 にもかかわらず、日本の報道の扱いが、いま一つ盛り上がりに欠けると思うのは、私だけではないようである。朝のワイドショー「とくダネ!」の小倉キャスターも先週の番組の冒頭で言っていたが、世界中の研究者がしのぎを削っている「イオンエンジン」で長距離を航行したことや、探査機の自律判断で少なくとも着陸には成功していたことなど、採取の失敗のことよりも大きく扱うべきだ、と苦言を呈していた。2回目の採取が成功したもようであると発表された後の報道も、小さい扱いが多かったように思う。これは日本人特有の謙虚さによるもの、と片付けてしまいたくはない。

 一つの要因としては、NASAなどの大きな司令室に比べると、今回は小さな研究室の一角という映像しかないため迫力に欠ける、というメディアの事情もあるだろう。それと日本の報道界には、科学的な知識を持つ人材が極めて少ないということもあるだろう。つまりどれくらいスゴイことなのかがピンと来ないということである。

 それに比べて中国の有人ロケットの成功の扱いは、これまた極端である。まさに国家を挙げてお祭り騒ぎである。実際のところは、ロシアの技術協力のおかげというのが大方の見方なのであるが、それを一般大衆も知ってか知らずしてか、我が事のように喜んでいる。もっとも日本の戦後の復興は、アメリカの技術を見よう見真似で貪欲に吸収した結果という一面もあるから、安直に節操ないと言うつもりもない。

 さらに韓国の場合(「国民性【その1】」)には、今回も理解を超える事件が起こっている。韓国でもっともノーベル賞に近いとされていた研究者が、実験用に人の卵子を金銭で購入していた疑いがあり倫理的に問題がある、ということを韓国のテレビ局が特集番組で放映したのであるが、それがきっかけとなって、その研究者は辞職を表明する事態になった。つまり韓国初のノーベル賞が遠のいたということを意味するのである。すると「どうして自国民の英雄の名誉を傷付け、国益を損なう報道をするのか」ということでテレビ局には抗議が殺到し、その番組のスポンサー企業がいっせいにCMを取り止めた。さらには局そのものに対して不買ならぬ不視聴運動まで起きて、テレビ局そのものが危機に瀕しているということである。

 国民としての心情は理解できるものの、倫理問題を脇に置いておいて、まずは国益を優先するべきという考え方は、いかがなものかと言わざるをえない。目的のためならば手段を選ばずということになりかねない。元々そのテレビ局はいろいろと問題を起こしていて、一説によると、その番組の内容も、かなりいいかげんな取材に基づいたものであった、とも言われている。しかし仮にそうであるならば、辞職など表明する必要はなくて、毅然としていればいいだけである。本人として、多少なりとも反省すべき点があったからこそ、責任を取る姿勢を示したのではないかと思う。結局、今回の真相はよく分からないが、報道そのものに対して自国にとって不利益な報道をさせない、という風潮が国民の側にあるとするならば、それは言論・報道の自由の根幹に関わる大きな問題である。

 話は元に戻るが、JAXAのホームページを眺めていたら、私も知らなかった面白そうな研究が、思いのほか多く並んでいるのに驚いた。ノーベル賞は取れなくても、地道に研究を重ねている研究者が数多くいるという事実だけで、十分に国益となると私は思うのである。

●宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページ
http://www.isas.jaxa.jp/j/index.shtml

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はからずも実証されたこと(2005.11.25)

 世間を騒がせている耐震強度の偽装事件であるが、今までの日本では起こりえないと思われていたことが起こってしまったという点において衝撃は大きい。該当するマンションに住んでいる人達の心境は、察して余りあるものがある。「地震の教訓」で話題にした通り、私自身が大地震を経験したからに他ならない。特に2回目の余震(「備えあれば」)のさいちゅうに、「揺れている間じゅう、実は嬉しくて仕方なかった」なんていう心境になれたのも、倒壊することは絶対にない、という大前提があったからこそである。でも逆に倒壊する危険性がある、ということを突きつけられたら、さすがの私であっても、即座に転居するかもしれない。

 実は私の父は建築士で、しかも構造設計が専門であった。子供の頃に家族旅行で東京に行ったときには、当時、最も高度が高いホテルとされていた新宿の京王プラザホテルを指定して泊まり、「地震の際には、あえて揺れるようにすることで建物が地震のエネルギーを吸収し、最悪の事態である倒壊することを避けるように設計されている」、なんていう薀蓄を聞かされた思い出がある。その父が口ぐせにしていたのが、「日本の建築物は地震が起こることを想定して設計されているから、倒壊するようなことは、ほとんどあり得ない」ということだった。私はそれが頭の片隅にあったので、余震の際には余裕があったのである。

 その我家のあるマンションであるが、地震による被害の補修工事が今月から始まった。大きなヒビ割れは素人目にも分かっていたが、今回、専門家による細かいチェックがなされて、それぞれに色が付けられている。どうやら赤色が危険ということのようであるが、意外にも気付かなかった箇所に付けられていることが多い。それにしても、今さらではあるが、15階建ての大きなマンションが、あれほどの激しい揺れに耐えたというのは、よくよく考えるとスゴイことだと思う。壁のヒビ割れは多くあるものの、支えている柱などには全く損傷はなく、外部の補修だけで問題ないとのことである。偽装事件のニュースを最初に聞いたときには、「うちのマンションは、すでに実証されたから安心やね」、なんていう皮肉な会話を家内と交わしたものである。

 かつて日本は、治安だけでなく、交通機関などのインフラも含めて、世界でいちばん安全な国とされていた。それが最近になって、揺らぎ始めている。JR西日本の脱線事故もしかり、相次ぐ子供の殺人事件など、日本の安全神話はもう過去の話なのであろうか? 長い不況が終わり、景気は上向きになったことは確実である。いやな事件は、そろそろ終わりにして、これから明るい社会に向かっていってほしいものである。

≪本日のHEADLINE≫

「インペリアルフォース2 cosmic interceptor」製品情報ページにおいて、GameSystemの「外交」を更新しました。

「ティル・ナ・ノーグV〜悠久の仁〜」製品情報ページの、「敵図鑑」コーナーを更新しました。

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航空祭のお勧め(2005.11.2)

 自衛隊においては、いろいろなイベントが開催されているが、その中でも航空自衛隊の各基地で開催される「航空祭」は、ひじょうにお勧めである。陸上自衛隊の場合には、毎年実施される「富士総合火力演習」、海上自衛隊の場合には、3年に1度の「観艦式」において、それぞれ実弾を使った実戦形式の演習を見学できるのであるが、いずれも参加は抽選で、かなり競争率が高いのが難点である。はっきり言うとコネがないと厳しい。しかし、航空祭の場合には、基本的に誰でも参加できる。仮に会場に入れなくても、近所から戦闘機の勇姿を見ることができるのが最大の魅力である。

 「自衛隊の最新装備」で紹介したように、1機あたり100億円以上もする戦闘機なわけであるが、自分達が払っている税金の一部が使われていることは間違いないわけなので、納税者の権利として一度くらいは見る必要があると思う。かく言う私も、戦闘機フライトシミュレータ「遊撃王」(「気分はノスタルジー」を参照)を担当していたときに、社内の友人に誘われて初めて参加した。朝が早かったので、あまり気乗りがしなかったのであるが、最初のデモフライトを見た瞬間に目が覚めた。こんな感じだろうな、というイメージはあったが、やはり実機の迫力は想像を絶するものがあった。戦闘機のジェットエンジンの力強い振動が、直接、体に染み渡る感覚には、なんとも表現のしようがないくらいに感動した。たちまち、戦闘機マニアになってしまったしだいである。

 さて豆知識としてであるが、航空自衛隊に配備されている米国ボーイング社(元はマクダネル・ダグラス社)の「F-15 イーグル」戦闘機は、かつて大型化の一途であった戦闘機の中でも、頂点に立つ大型の戦闘機の一つである。そのエンジンのパワーは凄まじいものがあって、「推力重力比」と呼ばれる機体重量に対するエンジンの推力の比は1.4とされている。これはどういうことを意味するかと言うと、1.0を超えると自分の重量よりも推力のほうが上回っている、つまりロケットのように垂直方向に加速しながら上昇することができるということなのである。

 この強大なパワーを引き出すことができるのが、アフターバーナーと呼ばれるジェットエンジンの機能である。発進する際などに戦闘機のエンジンから、火が噴出すように見えるのは、アフターバーナーを使用しているときである。仕組みとしては、排気と燃料を混ぜて燃焼させているのであるが、燃費が極めて悪くなるために、短時間しか使えない。しかも、このアフターバーナーは、ジェットエンジンの半分くらいの容量を占めているという代物である。

 今週末の11月6日(日)に、福岡県の築城(ついき)基地において、航空祭が開催される。もちろん弊社のスタッフも、数名が行く予定である。しかも、かなり早朝に出発することになっている。そうしないと入れないかもしれないからである。少し天気が心配ではあるが、近々退役が決まっている国産初の音速攻撃機F-1の見納めかもしれないので、近郊の方は今からでも計画されてはいかがであろうか?

 その他の基地の航空祭などは、下記の航空自衛隊のホームページに紹介されているので、参考にしていただきたい。

●航空自衛隊のホームページ
http://www.jda.go.jp/jasdf/

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